| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-393  (Poster presentation)

琵琶湖南湖および内湖周辺の農業用水路におけるオオクチバスの食性
Food habits of largemouth bass in agricultural canals around southern basin and lagoon of Lake Biwa.

*藤田宗也(龍谷大・院・理工), 太下蓮(龍谷大・院・理工), 久保星(龍谷大・院・理工), 福岡太一(龍谷大・院・理工), 森脇優介(龍谷大・院・理工), 田邑龍(龍谷大・理工), 太田真人(龍谷大・里山研), 遊磨正秀(龍谷大・先端理工, 龍谷大・里山研)
*Soya FUJITA(Ryukoku Univ.ST), Ren OSHITA(Ryukoku Univ.ST), KUBO SHO(Ryukoku Univ.ST), Taichi FUKUOKA(Ryukoku Univ.ST), Yusuke MORIWAKI(Ryukoku Univ.ST), Ryo TAMURA(Ryukoku Univ.), Masato OTA(RCSS), YUMA MASAHIDE(Ryukoku Univ.AST, RCSS)

オオクチバスMicropterus salmoidesはスズキ目サンフィッシュ科に属する北米原産の淡水魚であり、北海道以外の日本全国に生息している。本種は肉食性魚類であり、生息する環境によって食性を柔軟に変化させることから、幅広い在来の水生生物への食害が報告されている。本種の侵入先の一つである水路は物理的・化学的に他の水系とは異なった特徴を持っており、水路独自の生態系が形成されている。そのため、水路における本種は他の環境に比べ水路独自の食性を持つことが考えられる。しかし、水路における本種の食性の実態を調査した研究はない。そこで本研究では2020年9月14日から10月25日の期間に琵琶湖南湖および内湖周辺の4本の農業用水路(滋賀県草津市山田、下寺、下物、大津市堅田)において餌資源とオオクチバスの採集を行い、胃内容物について餌料重要度指数(IRI)を用いて解析し比較を行った。
4本の水路において、標準体長51.3~141.5mmの当歳魚のオオクチバスが計174個体採集された。餌生物の採集の結果、すべての水路においてオオクチバスが利用可能な魚類の採集数は少なかった。また、胃内容物解析の結果、魚類の飼料出現率(%F)と相対飼料重要度(%IRI)が低い値を示していることから、魚類を捕食できていないことが分かった。それぞれの水路で代替的な飼料として、山田ではトビムシ目をはじめとした水生昆虫、下寺では動物プランクトン、下物ではチビミズムシ属やヌマエビ類、堅田では飛来するハエ目やアメリカザリガニ稚仔といった微小な生物の相対飼料飼料重要度(%IRI)が高く、重要な餌資源となっていた。利用可能な魚類が少ない本調査水路において、オオクチバスは代替的にその水路に多い微小な種を捕食し続けることによって、水路環境に適応していた。しかしながら、魚類を捕食できていない点から、他水系よりも栄養的に不利である可能性がある。


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