| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-403  (Poster presentation)

日光二荒山神社境内における特定外来生物オオハンゴンソウの分布特性
Distribution characteristics of the alien species Cutleaf coneflower in the precincts of Nikko Futarasan Shrine

*伊藤慧, 上原裕世, 高橋俊守(宇都宮大学)
*Satoru ITO, Hiroyo UEHARA, Toshimori TAKAHASHI(Utsunomiya University)

外来種の管理を科学的に行なうためには、地図作成が効果的な手段となる。本研究では、特定外来生物に指定されたオオハンゴンソウの科学的な管理を念頭に、GISを用いて分布や環境要因を可視化し、駆除に必要な努力量を算定する方法を模索した。研究対象地は、日光国立公園に位置する日光二荒山神社中宮祠とした。本対象地は、境内の一部にオオハンゴンソウが繁茂し、景観の維持回復が課題となっている。
地元ボランティアとともに駆除活動を行ないながら現地調査を行ない、GISデータベースを作成した。研究対象地にて、GISを用いて調査範囲に10m×10mの512メッシュを作成し、植生調査と環境調査を行なった。各メッシュ内に1m×1mのコドラートを設置し、高木層の有無、下層植生・オオハンゴンソウの被度等を記録した。
6月下旬から8月上旬における約45日間では、高木層植被が有る箇所におけるオオハンゴンソウの伸長量は平均44.3cmで、植被がない箇所の平均伸長量58.6cmを下回った。8月時点では、高木層植被が有る箇所におけるオオハンゴンソウの蕾数は平均17.8/m2で、開花数は2.2/m2であったのに対し、植被がない箇所の蕾数は平均34.1/m2、開花数は5.4/m2であった。また、オオハンゴンソウの伸長量、蕾数、開花数はそれぞれ、高木層植被の有無においていずれも有意差が認められた。すなわち、オオハンゴンソウの生長度合いには、成育場所の光条件が関係しており、さらには駆除に求められる努力量にも影響することが示唆された。
駆除にかかる努力量は、大人1人が1時間の抜き取りを行なうと湿重量で5.0kg~5.5kg、摘み取りを行なうと蕾数で447.5除去できると見積もられた。これらの知見をもとに、光条件やオオハンゴンソウの生長段階に関する情報を備えた地図をGISを用いて作成することで、効果的な管理計画を立案できると考えられる。


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