| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-415  (Poster presentation)

小形風車における鳥類の飛翔高度別の接近性
The approaching behavior of birds categorized by altitude nearby small wind turbine

*茨田匡(東京都市大学), 北村亘(東京都市大学), 久保昌也(日本小形風力発電協会, ゼファー株式会社), 新井隆史(ゼファー株式会社)
*Masashi Barada masashi BARADA(Tokyo city Univ), wataru KITAMURA(Tokyo city Univ), masaya KUBO(japan smallwindturbines assoc., Zephyr Corporation), takashi ARAI(Zephyr Corporation)

風力発電の設置台数が増加するにつれ、鳥類の衝突事故増加が問題となっている。2021年からは発電量が3万7500kW以上の風力発電について、建設時に特定の猛禽類に対して環境アセスメントが求められることとなった。一方、小形風力発電は環境アセスメントの義務がなく、立地選定の制限が少ないことから大型風力発電では建てることができない場所にも建設することができ、近年の設置台数は増加し続けている。また、大型風力発電を対象にした環境アセスメントでは、大型風力発電のブレードよりも低い高度を飛翔する鳥類が多くいたが、衝突リスクが少ないことから留意されていなかった。しかし、一般的に発電容量の少ない風力発電機の方が鳥類の衝突リスクは増加すると言われている。実際、日本での小形風力発電による鳥類の死亡報告回数は増加傾向にあり、希少な野鳥の衝突事例(バードストライク)が確認されている。しかし、日本で小形風力発電と鳥類との関係性について調査した研究は未だされていない。そこで本研究では、衝突数の多いオオセグロカモメを対象に小形風力発電周辺の飛翔頻度に影響を与える要因を抽出することを目的とした。このために定点観察調査で小形風力発電機から一定の範囲に入った鳥種を記録し、高さ別の飛翔回数を目的変数とした一般化線形モデルを用いて、飛翔頻度に影響を与える要因を明らかにした。その結果、風車の回転域を示す高度Mの高さにおいて、早朝の時間帯に飛翔回数が有意に増加した。早朝の時間に高度Mを飛翔した割合は高度全体の37.5%であった。本調査で定めた早朝の時間帯で風車の回転を止めた場合、鳥類の衝突リスクが68.4%抑えられることが明らかとなった。本研究より、調査の時間帯によって鳥類の観測回数に変化があることが明らかとなり、鳥類の衝突対策の手法として、時間帯での鳥類の活動頻度に応じて一時的に風車の稼働を制限することで、衝突リスクが抑制されることが考えられた。


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