| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-428  (Poster presentation)

琵琶湖における廃川の魚類ハビタットとしての活用可能性
The potential of abandoned river as habitats for fish species in Lake Biwa

*東坂波也翔, 松本岳大, 坂田雅之, 源利文(神戸大学)
*Hayato HIGASHISAKA, Takehiro MATSUMOTO, Masayuki SAKATA, Toshihumi MINAMOTO(Kobe Univ.)

滋賀県守山市の大川は、治水工事によって琵琶湖との繋がりが失われた廃川であり、2020年6月より、琵琶湖との繋がりを取り戻すことで魚類の遡上を可能にし、魚類の産卵場や成育場としての廃川の活用を目指す「小さな自然再生」が行われている。本研究では、「小さな自然再生」実施前を含む約1年半にわたって環境DNA分析手法を用いた魚類のモニタリングを行うことで、廃川の魚類ハビタットとしての活用可能性を調査した。2020年6月から2021年11月まで、大川およびその周辺の琵琶湖本湖などを含む計8地点で9回の採水を行った。水サンプルからDNAの抽出を行い、魚類のDNAを網羅的に増幅するMiFish-Uプライマーを用いて環境DNAメタバーコーディングを行った。本研究を通して計32種、大川では計21種の魚類のDNAが検出された。大川の魚類相は2020年と2021年で有意な違いはなく、多様度指数にも有意な変動は見られなかった。自然再生活動によって琵琶湖と繋がった大川河口部左岸では、繁殖期にゲンゴロウブナ(Carassius cuvieri)の検出リード数の相対優占度にピークが見られた。この結果を定量PCRによってさらに確認したところ、DNAのコピー数に同様のピークが見られた。このことは自然再生活動によって琵琶湖と大川が繋がったことで、ゲンゴロウブナが産卵のために琵琶湖から遡上してきた可能性を示しており、ここで得られた知見を活用することで、琵琶湖の固有種であるゲンゴロウブナの保全に繋がると考えられる。この結果から、廃川と琵琶湖の繋がりを取り戻すことで廃川が魚類の産卵場や成育場として機能し、琵琶湖の生物多様性保全に貢献出来る可能性が示された。


日本生態学会