| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-021  (Poster presentation)

ブルガリア中央部における食肉目ギルドの空間・時間的分割パターン
Patterns in spatio-temporal paritioning in carnivore guilds in Central Bulgaria

*角田裕志(埼玉県環科セ), Stanislava PEEVA(Trakia University), Evgeniy RAICHEV(Trakia University), Thomas KRONAWETTER(BOKU), Krasimir B. KIRILOV(Trakia University), Dian GEORGIEV(Trakia University), 金子弥生(東京農工大)
*Hiroshi TSUNODA(CESS), Stanislava PEEVA(Trakia University), Evgeniy RAICHEV(Trakia University), Thomas KRONAWETTER(BOKU), Krasimir B. KIRILOV(Trakia University), Dian GEORGIEV(Trakia University), Yayoi KANEKO(TUAT)

中大型食肉目ギルドの時間的・空間的ニッチに対する地理的・人為的影響を把握する目的で、ブルガリア中央部においてカメラトラップ法により生息分布と日周活動を調査した。平地の農林景観から山地の森林域までの様々な標高・景観の場所に2015年から2020年に計58地点に自動撮影カメラを設置し、13988カメラ日で中大型食肉目9属種(オオカミ、ヒグマ、ジャッカル、アナグマ、キツネ、ヤマネコ、テン属、イヌ、ネコ)の画像データ計3364件を得た。得られた撮影データからカメラ稼働日当たりの各種の撮影数を計算し、多次元尺度法によって種構成と各カメラ地点の標高、景観(森林率および草地・低灌木樹林率)、ヒト・家畜の撮影頻度(直接的な人為干渉の指標)との関係を解析した。また、動物の撮影時間(時分)を角度変換しカーネル密度法によって日周活動を解析し、全ての種ペアについて日周活動の重複指数を算出した。多次元尺度による解析では、オオカミ、ヒグマ、ヤマネコが高標高の森林山地に主に分布し、ジャッカル、アナグマ、ネコは低地の小規模樹林地と農地のモザイク景観に主に分布し、キツネ、テン属、イヌは丘陵地・低山地の森林に主に分布した。一方、ヒト・家畜の撮影頻度との関係は見られなかった。日周活動では、ヒグマが昼夜行性、イヌが昼行性、ジャッカルが薄明薄暮性を示し、それ以外の6種は主に夜行性を示した。特にイヌ、ジャッカルとそれ以外の種間で日周活動の重複指数が低かった。生息分布には主に人為的な環境改変が、日周活動には各種の被食生物の活動性との同調がそれぞれ影響を与えていたが、食肉目動物種間の直接競争の回避のための時間的・空間的分割も影響すると考えられた。また発表では、栄養ニッチが重複する中型食肉目ギルドに着目した時間的・空間的分割パターンの解析結果についても検討・議論する。


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