| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-022  (Poster presentation)

北海道屈斜路湖流入河川に生息するサケ科魚類の環境要因と種間・種内順位の関係
Relationship between environmental factors and inter / intra-species dominance hierarchy of salmonids in the inflowing rivers of Lake Kussharo

*三澤康介, 吉川朋子(玉川大学)
*Kosuke MISAWA, Tomoko YOSHIKAWA(Tamagawa Univ.)

 同所的に生息するサケ科魚類は利用環境や餌資源が類似しているため,種間または個体間で競争が起こる可能性がある.屈斜路湖流入河川に生息するサケ科魚類が利用する環境の水深・流速・カバーの種類や行動を調べ種間関係明らかにするとともに,外来種であるニジマスの影響を明らかにすることを目的とし調査を行った.その結果,どの種においても成長に伴い40cm以上の深い水深を利用すること,生育段階に関わらず40cm・s⁻¹以下の遅い流速を好むことが示唆された.一方,利用カバーは種によって異なり,サクラマスとオショロコマは様々な種類のカバーを利用し成長に伴い利用カバーが変化させたが,アメマスとニジマスは植物や倒木を主に利用し,成長しても利用カバーが変化しない.どの種も採餌行動は流下物捕食の割合が大きかったが,他種の影響で変化している場合もあった.特にオショロコマは同所的にサクラマスやニジマスがいると流下物捕食から底生無脊椎動物捕食に変化する傾向が確認された.定位位置をみると調査河川の中流域では秋季にニジマスが在来サケ科魚類よりも優位となる場合があることが示唆され,また6月に産卵のために屈斜路湖から流入河川に遡上してきたニジマスは産卵後も生存し,在来種を含む魚類を捕食していた.利用環境や降湖前に流下物を捕食するという点で特に類似したニジマスとアメマスは競争関係にあるため,ニジマスの増加がアメマスの降湖個体増加に影響している可能性があった.これら2種の遡上個体は産卵後に魚食性が高まり在来種を含む様々な魚類を捕食している可能性があるため,今後はアメマスとニジマスの競争関係に焦点を当てて調査することに加え,両種の遡上産卵後個体の胃内容物などを詳しく調査することが求められる.


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