| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-032  (Poster presentation)

氾濫原の景観変化が砂礫性オサムシ類と水生昆虫との関係性に与える影響
Effectts of floodplain landuse change on linkage between gravel beetles and aquatic insects

*玉田祐介(帯広畜産大学, 株式会社長大)
*Yusuke TAMADA(Obihiro Univ., Chodai  Co.,Ltd.)

農地への転換・都市化等の土地利用の改変は、生物多様性に最も影響を及ぼす要因の一つである。平坦で肥沃な氾濫原は古くから人為的土地利用へ転換され、陸域生態系及び水域生態系の双方に影響を及ぼしている。
氾濫原景観において、水域から羽化した水生昆虫は陸域生態系へ供給され、陸域と水域との連結性を構築することが知られている。水生昆虫を消費する陸域消費者としては、鳥類、コウモリ類、クモ類、オサムシ類等が知られている。このような陸域と水域との連結性は、様々な要因によりその強度が変化し、例えば、河川内の一次生産量によって水生昆虫量が変化すると、陸域への供給量が多くなり、陸域消費者の個体群・群集へ影響を及ぼす。しかし、景観変化が陸域と水域との連結性に与える影響はほとんど明らかとなっていない。景観変化は陸域由来の餌資源量の変化等を通して、陸域と水域との連結性に影響を及ぼしている可能性がある。そこで、本研究では、陸域消費者として砂礫性オサムシ類をモデルとし、砂礫性オサムシ類と水生昆虫との関係性が周辺の土地利用により変化するかを調査した。
北海道日高地方に位置する沙流川水系において、17調査地点(砂礫地)を設定し、2021年7~8月に調査を実施した。各砂礫地の水際及び中央部に計18個(水際及び中央部に各9個)のピットフォールトラップを設置し、砂礫性オサムシ類を捕獲した。また、各砂礫地に隣接する河川内においてサーバーネットにより水生昆虫を捕獲し、バイオマスを算出した。さらに、景観スケールの環境要因として砂礫地周辺の森林面積率を、パッチスケールの環境要因として砂礫地面積を、局所スケールの環境要因として礫の大きさ及びはまり度をそれぞれ計測した。
本発表では、以上の調査の結果及び考察を述べ、陸域と水域の連結性に配慮した氾濫原管理について提言する。


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