| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨 ESJ69 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-046 (Poster presentation)
セイヨウオオマルハナバチ(以下セイヨウ)は農作物の花粉媒介昆虫として,1992年頃から日本へ輸入され,主に温室トマトの生産効率と品質改善に寄与してきた.しかし,北海道ではハウスから逃走した個体の野生化が進み,在来マルハナバチ類と餌や営巣場所をめぐる競合や,野生植物の花粉媒介を阻害する問題が生じている.こうした問題を解決するために,北海道内では花粉媒介昆虫として在来種のエゾオオマルハナバチ(エゾ)への代替が予定されている.しかし,トマトの栽培においてセイヨウとエゾの訪花行動の違いや,トマトの果実の品質に与える影響は十分に分かっていない.マルハナバチはトマトに訪花する際には,振動受粉(バズポリネーション)と呼ばれる方法で葯から花粉を放出させる.本研究では,セイヨウとエゾをハウスで飼育し,トマト訪花の際にマルハナバチが行う振動受粉を録音し,その振動の継続時間・周波数・振幅を両種で調査した.その結果,セイヨウはエゾに比べ,花滞在時間,訪花あたりの振動継続時間が短く,平均振幅が大きいことが明らかになった.平均周波数や訪花あたりの振動回数に両種で差はなかった.講演では両種の行動の違いについて議論する.