| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-048  (Poster presentation)

北海道におけるマザトウムシのオスの2型と繁殖行動の関係
Relationships between male dimorphism and mating behavior of Phalangium opilio in Hokkaido

*松井風河(北海道大学), 鶴崎展巨(鳥取大学), 加藤徹(北海道大学)
*Fuga MATSUI(Hokkaido Univ.), Nobuo TSURUSAKI(Tottori Univ.), Toru KATOH(Hokkaido Univ.)

 オス内に多型を示す生物が多く知られており、繁殖に関わる形質に多型がみられる場合はそれぞれの個体が異なる行動戦略をとることによって繁殖成功度を最大化することができる。クモガタ鋼に属するザトウムシ目ではこうした報告が数多くされており、多様な行動形式も近年知られるようになってきている。オスで鋏角が大きく発達するマザトウムシは、日本の個体群で触肢腿節長、鋏角長にオスの2型が知られている。鋏角の小さい個体は必ずオス間闘争に負けることが分かっており、異なる行動をとっていることが考えられる。そこで、本研究ではマザトウムシを用いてオスの2型の有無とそれに伴う行動の違いを調査した。
 採集は2018年8月末から10月末までの約2か月間、北海道札幌市清田区平岡の住宅街の草地で行い、採集した個体は生きたまま持ち帰った。これらを用いて実験室内でケージ (25.5cm × 15cm) にオスメス各2匹を入れ、18時から14時までの20時間録画し、そのうち1時間ごとに10分を観察した。43回録画を行い、撮影の最後まですべての個体が生存していた11回の録画データを使用した。形態計測は死亡後に頭胸長、触肢腿節長、鋏角長を顕微鏡下で行った。
 形態計測によって、頭胸長の分布は正規分布を示すが、触肢腿節長、鋏角長はともに2山型を示し、2型の存在が示唆された。行動観察ではオスによるメスのガード行動が確認され、この回数を調べたところ、どちらのオスもガード行動をとらなかった1回を除いて、他のすべての実験で鋏角長によって分類された大小2型ではなく、相対的に相手より鋏角が大きい個体がより多くガード行動をとっていた。これは、相手の鋏角の大きさに合わせて小さい個体でもガード行動をとることで、常にガード行動をしない場合よりも適応的になることが考えられる。


日本生態学会