| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨 ESJ69 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-049 (Poster presentation)
ヒトにおいて、赤色刺激は様々な情動を促進することが知られている。この赤色刺激による情動促進効果はヒト以外の脊椎動物においても報告されている(P2-050参照)。赤色刺激が情動を促進するということは、その情動に関する学習も促進されると考えられる。鳥類やサルでは、赤色の餌に対する回避学習が成立しやすいという報告があり、赤色刺激は不快情動に対する学習を促進すると考えられる。本研究では、赤色刺激がもたらす恐怖学習の促進効果を両生類(ダルマガエルオタマジャクシ)および魚類(ゼブラフィッシュ)においてみられるかどうかを検討した。オタマジャクシの検討では、異なる赤光または白光環境下で追尾刺激を1日2試行4日間与えた後に、光非照射状況下で個体の尾部に軽度の接触刺激を与えた際の驚愕反応を観察した。赤光追尾区では白光追尾区や非追尾区よりも驚愕反応が多くみられ、この反応は8日後まで持続していた。ゼブラフィッシュの検討では、赤光、白光またはUV光環境下で手網による追尾処理(6試行/日)を施し、翌日に非照射状況下で手網を提示した際の警戒反応を観察した。その結果、赤光追尾区の個体は手網に対して強い警戒反応がみられ、この反応は持続しやすい傾向がみられた。これらの実験から、赤色刺激は両生類・魚類の恐怖学習を促進すると考えられ、赤光による恐怖学習の促進効果が脊椎動物に広く共通した心理機構である可能性が示された。