| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨 ESJ69 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-051 (Poster presentation)
捕食圧は被食者の形態や行動など様々な形質に影響を与える。その典型的な例の1つが被食者の対捕食者形質の進化である。例えば、擬態や警告シグナルなどの形態形質は対捕食者形質の中でも人々の目を惹き、最も有名である。その他にも「逃げる」や「じっと動かずに留まる」という行動形質や毒物分泌などの化学的な防衛など多様な対捕食者形質が報告されている。これらの対捕食者形質の進化が捕食者によって促されたという証拠は、捕食者がいる個体群といない個体群を比較することで得られたものが多く、室内実験系で捕食者を導入することで被食者の直接的な進化的な変化を調べた研究例は少ない。オオツノコクヌストモドキGnatocerus cornutusでは、すでにオスまたはメスのみを捕食者にさらす人為選抜を行っている。ただし、この先行研究では繁殖形質の進化的変化のみに焦点を当てており、オオツノコクヌストモドキの対捕食者形質についての調査は行っていない。そこで、このオスのみまたはメスのみが捕食者にさらされた集団を用い、対捕食者行動に着目し、各集団で雌雄別に各形質を定量化した。実験結果から、捕食圧による対捕食者行動の反応は雌雄間で異なることが示唆されたた。なぜ性間で異なる反応が見られたのか、対捕食者形質の雌雄間の遺伝相関に関する結果とともに考察したい。