| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-131  (Poster presentation)

デジタル可視画像解析による葉群フェノロジー評価手法の比較
Comparative Analysis of Leaf Canopy Phenology Using Digital RGB Images

*関川清広(玉川大学), 友常満利(玉川大学), 永井信(海洋研究開発機構)
*Seikoh SEKIKAWA(Tamagawa University), Mitsutoshi TOMOTSUNE(Tamagawa University), Shin NAGAI(JAMSTEC)

衛星リモートセンシング分野では,高空間分解能かつ高頻度の衛星データ(例えば10 m,5日ごと)を利用して,広域的な生態系研究が行われるようになってきた.一方,デジタルカメラ画像は,より高解像度で,生態系(植生)内の植物種や,成長や開花などの生活史イベントの記録に適しており,さまざまな生態学的アプローチに利用可能である.演者らは,(1)定点でのタイムラプスカメラによるインターバル画像(以下TLC画像)や(2)ドローンによる空撮画像を用いて,構成植物のフェノロジーや種の判別などの研究を続けている.本講演では,これらの研究成果を紹介するとともに,手法的な比較を試みる.(1a)草原生態系の葉群フェノロジー: TLC画像(約10年間)およびその他の葉群評価手法を組み合わせて,半自然草原の葉群フェノロジーを評価し,地温の影響を解析した(関川ら2015).(1b)二次林優占種の開葉および開花フェノロジー: TLC画像(および一部は肉眼による目視観察)をもとに,市街地の植栽樹と里山林の落葉広葉樹について開葉と開花を識別し,気温の影響を評価した(永井ら2020).(2)都市域里山の景観フェノロジーと樹種判別: 約1年間(6季節)の空撮画像と現地踏査をもとに,落葉広葉樹3種,常緑広葉樹3種,常緑針葉樹2種,およびタケ(モウソウチク)を抽出し,樹冠部の葉群と開花の状況から樹種判別を行った(友常ら2021,詳細は今大会ポスターP2-339にて発表).(1a,1b)は,目的とする植生や植物体を定期的に記録することでフェノロジーを詳細に解析可能だが,カメラ周囲の限られた範囲の評価にとどまる.(2)は,広範囲に含まれる複数の植生や景観を対象とすることができるが,労力的な制約により空撮頻度が限られ,フェノロジーの詳細な解析には限界がある.これらの特徴を踏まえて,生態系研究への各手法の活用について議論する.


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