| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨 ESJ69 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-133 (Poster presentation)
異なる標高に生育する近縁種は、高標高ほど生育期間が短くなるため、高標高に分布する種が早咲きに、低標高に分布する種が遅咲きになりやすい。このような近縁種の間に生じる交雑帯の維持機構を明らかにするため、高標高に分布する早咲きのオオヤマザクラと低標高に分布する遅咲きのカスミザクラを調べた。同じ標高では両種の開花期がずれていたが、標高が上がると開花期が遅れるため、標高間で両種の開花期が重複した。異なる標高の開花木、散布前種子胚、稚樹の遺伝子型を決定し、花粉と種子の散布様式を推測した。雑種(雑種指数S: 0.125 ≤ S ≤ 0.875)は、胚で19%、稚樹で17%、開花木で12%で、その開花期は両種の中間だった。遺伝子型の標高分布から、標高間の種間の花粉散布、同標高での戻し交雑、低い標高への種子散布が示唆された。このような花粉と種子の垂直散布と雑種への弱い淘汰により交雑帯が維持されていると考えられる。
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https://doi.org/10.1111/1442-1984.12311
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