| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-138  (Poster presentation)

愛知県日進市におけるネザサの開花
Flowering of Pleioblastus argenteostriatus f. glaber in Nisshin city, Aichi Prefecture, Japan

*橋本啓史(名城大学)
*Hiroshi HASHIMOTO(Meijo Univ.)

2020年と2021年に愛知県日進市赤池町でネザサの部分開花を記録した。2020年4月15日に花穂が出ているのを発見し、翌4月16日に開花地点を調べたところ、天白川右岸堤防上の管理道路脇の草刈り跡から生えた草丈の低いネザサで、約1kmに渡り断続的に部分開花していた。開花個体は多くは堤外側であったが、堤内側の草刈りされた法面でも一部開花が見られた。堤外側法面の刈られていない草丈の高いネザサの桿に花は見つからなかった。2020年は7月上旬に堤防管理道路脇の草刈りがされてしまい、結実状況の記録はできなかった。夏・秋の年2回の草刈りが行われているようだ。なお、その年の冬にネザサの一斉枯死は見られなかった。2021年も4月11日に開花を確認し、5月15日に開花地点の記録を行った。前年度とほぼ同じ範囲で、草刈りされた後から生えた草丈の低い個体のみが開花していた。途中、2ヶ所の舗装された車道(車道の橋の下も現在はコンクリート張り)と1ヶ所のコンクリート製排水路によって堤防上の植生は分断されていた。あえてエリア分けすると、7つの開花集団に分けることができ、5月23日にそれぞれの集団から5~18個体の穂を採取した(計45個体)。7月にもまだ開花個体が少数見られたので、7月10日に3つの集団から目についた穂全てを採取した(計約100穂)。5月23日に採取したサンプルでは結実していた種子は頴673中4粒(結実率0.59%)、7月10日採取のものでは結実していた種子は頴1012中5粒(結実率0.49%)、と非常に低い結実率であった。種子の稔性は不明である。MIG-seq解析によって5月に採取した7集団と7月に採取した3集団のそれぞれ1個体の遺伝子を調べたところ、5月に採取した7集団はすべて異なるジェネットで、7月に採取した3集団も5月に採取した同エリアの分析個体とは別のジェネットであった。


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