| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-196  (Poster presentation)

淡路島のモウソウチク林の土壌圏における炭素動態の解明
Belowground carbon dynamics in a Moso Bamboo stand in Awaji island

*大橋瑞江(兵庫県立大学), 小林慧人(森林総合研究所関西), 久米朋宣(九州大学)
*Mizue OHASHI(University of Hyogo), Keito KOBAYASHI(FFPRI Kansai), Tomonori KUME(Kyushu University)

タケは古くから日本人に利用されてきたが、近年は需要の低下や農林業従事者の減少によって管理を放棄・放置される竹林が増えている。放置竹林は生息域を広げる中で隣接する森林など侵食し、その公益的機能を低下させる恐れがある。タケは地下茎を伸ばして生息域を広げることから、竹林拡大の仕組みを知るには地下部の物質動態を解明する必要がある。リターの分解は地下部の炭素貯留量や養分供給量を決定する重要なプロセスだが、竹林の場合、地下部の高いバイオマスにより、無視できない量の分解が根や地下茎で生じていると考えられる。また生物群集の違いは分解速度に影響する主要な要因の一つであると言える。そこで本研究では、竹林で生じるリターの分解特性を理解するため、1) タケリターの種類、2) 土壌動物の有無、がリターの分解にもたらす影響を明らかにすることを目的とした。2019年9月に兵庫県淡路市のモウソウチク林において、メッシュサイズ(40μm, 2mm)の異なる2種のリターバッグに、葉、枝、地下茎、根、稈の5種類のリターを封入し、設置した。そして設置開始から3、6、12、24か月後にバッグを回収し、残存リターの乾燥重量を秤量した。また初期重量からの減少率から、各条件における分解定数を求めた。なおリターの種類、メッシュサイズごとに10個の繰り返しをもって設置を行ったが、回収できたのは、回収できたのは6-10個であった。実験の結果、葉リターが他のリターに比べて分解が早く、設置2年後には設置時の2%にまで重量が減少した。一方、最も分解の遅いのは地下茎と稈であり、2年後においても設置時の重量の60%が残っていた。また、粗メッシュの方が細メッシュのリターバッグでリターの分解がより進んでおり、リター分解に対する土壌動物の寄与が示された。中でも葉における土壌動物の寄与は顕著であり、分解定数は、粗メッシュは1.6、細メッシュが0.6となり、約2.5倍の差がみられた。


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