| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-213  (Poster presentation)

生物多様性と送粉機能間に見られるボトムアップ型・トップダウン型の影響 【B】
Top-down and bottom-up effects on pollination ecosystem functioning 【B】

*橘太希(横浜国立大学), 内田圭(東京大学), 西村一晟(横浜国立大学), Xiaoming LU(Chinese Academy of Sciences), Xuezhen ZHAO(Chinese Academy of Sciences), Yongfei BAI(Chinese Academy of Sciences), 佐々木雄大(横浜国立大学)
*Taiki TACHIBANA(Yokohama National Univ.), Kei UCHIDA(The University of Tokyo), Issei NISHIMURA(Yokohama National Univ.), Xiaoming LU(Chinese Academy of Sciences), Xuezhen ZHAO(Chinese Academy of Sciences), Yongfei BAI(Chinese Academy of Sciences), Takehiro SASAKI(Yokohama National Univ.)

人間活動によって急速に進む環境変化と生物多様性の減少の影響を解明するため、「生物の多様性」と「生態系によって駆動されるさまざまな物質や現象(生態系機能)」との関係性(Biodiversity and Ecosystem Functioning)を明らかにしようとする試みが世界各地で行われるようになってきた。植物の種数を人為的にコントロールする実験から、植物の種多様性が高いほど、一次生産量や炭素固定といった植物群集によって生じる生態系機能が高くなることが明らかとなってきている。このような多様性操作実験を用いた研究の多くは、植物多様性がもたらす植物群集の生産性や安定性への影響に着目している。近年では送粉といった上位分類群を含めた生物間相互作用によって生じる生態系機能の変化に着目した研究もおこなわれるようになってきた。
送粉は花の蜜や花粉を餌資源とする訪花昆虫と花粉を訪花昆虫に運んでもらうことで受粉を促進する虫媒花の相利相互作用であるが、多様性に着目した送粉研究では植物群集によるボトムアップ的な関係として捉えられていることが多い。しかしながら、訪花昆虫の嗜好性、ジェネラリストとスペシャリストの違い、餌資源をめぐる種間競争、気候条件など、様々な要因によってトップダウン的に送粉関係が構築されている場合もある。本発表では実験系での調査を通じて局所群集における植物多様性-送粉-種子生産性の連関関係を紹介するとともに、この連関関係の中で植物がボトムアップ的に送粉を決定する側面と訪花昆虫がトップダウン的に送粉構造を決定する側面について考察する。


日本生態学会