| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-218  (Poster presentation)

巻き貝の形態変化の効果と進化の再現性
Effects of Morphological Changes  and Reproducibility of Evolution in spiral shells.

*野々山朋信(東北大学 東北アジア)
*Tomonobu NONOYAMA(Tohoku Univ. CNEAS.)

巻貝はその独特の形状により、古くから人々を魅了してきた。 対数らせんにも似た殻形態を表現するために、Raup以来多くの数理モデルが考案されてきた。 生態学的特性と殻形態の表現型の相関について多くの研究がなされてきたが、現実の貝類が多数の要素をもつために、殻形態の差異によって受ける恩恵を検証することは困難である。 なかでも、巻貝においてしばしば見られる殻側面におけるかどばりが、どのように生態的に影響を与えているのか明らかになってはいなかった。
 本研究では、数式を用いて巻き貝をモデル化し、角ばりに対して定量的な評価を行った。 結果、一般的に角ばりは巻貝の体積と表面積の増加をもたらすことが示唆された。 また、角ばりをつける効果は、断面が回転軸に近い場合に最も影響が大きいことがわかった。 本研究は巻貝の基礎的な形態変化が与える効果を評価する、1つのアプローチとなる可能性がある。 また、本研究ではこのような特徴を持つクチキレウキガイのような巻貝を念頭に、主にその形態から水中浮遊への進化への影響を評価する。


日本生態学会