| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-220  (Poster presentation)

外来アリ類の侵入最前線でみる在来アリ類の標高多様性勾配
Elavational diversity gradient of native ants at the forefront of invasion of alien ants

*加藤三歩(琉球大学)
*Mitsuho KATO(Univ. of the Ryukyus)

生物多様性のパターンを記述し、それを駆動している要因を明らかにすることは、保全科学における意思決定に通常必要とされる情報を提供する。アリは生態系の支配的な構成要素であり、外来アリ類は在来アリ類と競合しやすいといわれている。山地生態系においては、それらの競合関係に注目した報告自体は少ないが、外来アリ類の定着種数が平地と比べて少なくなりやすいことから、山地が侵入に不向きな土地であることがほのめかされている。そこで、沖縄島と奄美大島の山地を舞台に、在来・外来アリ類間の餌資源をめぐる競合が低地になるほど激しくなると仮定して、外来アリ類が在来アリ類の種多様性に及ぼす影響を調査した。
結果は標高(気温)と外来アリ類種数が同所的に生息する在来アリ類の個体群サイズと種数に影響していることを示唆した。奄美大島の12月の調査では、在来アリ類がベイト餌を占有する確率も上記要因の交互作用で減少していたが、7月および沖縄島の調査ではそのような傾向はみられなかった。12月の奄美大島では標高50m以下の地域に外来アリ類が、100m以上の地域に在来アリ類が偏って生息する一方で、7月には同地域内に在来・外来の指標種の生息が確認された。山地生態系におけるアリ類の異なる標高多様性勾配と相互作用のパターンは、競合を促す在来・外来アリ類を評価するうえでも重要な知見になりえる。


日本生態学会