| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-249  (Poster presentation)

北海道におけるアライグマの繁殖特性と個体数変動
Study on reproductive characteristics and population fluctuations of raccoons in Hokkaido, Japan.

*佐鹿万里子(北海道大学), 阿部豪(野生鳥獣対策連携(株)), 藤本綾子(北海道大学), 南川未来(北海道大学), 坪田敏男(北海道大学)
*Mariko SASHIKA(Hokkaido Univ.), Go ABE(Wildlife Consulting Center Ltd), Ayako FUJIMOTO(Hokkaido Univ.), Miku MINAMIKAWA(Hokkaido Univ.), Toshio TSUBOTA(Hokkaido Univ.)

日本では外来種アライグマの個体数が増加しており、在来種への影響など、様々な問題が引き起こされている。北海道においてもアライグマ捕獲数は増加の一途を辿っており、我々がアライグマの研究を開始した2003年には1,215頭であった捕獲数が、2020年には25,806頭にまで増加した。アライグマがこれほどまでに増加したのは、アライグマの繁殖力の強さに原因があると考えられ、対策を進めるためには、アライグマの繁殖特性を明らかにする必要がある。そこで本研究では、2003~2005年と2021年に北海道で捕獲された雌アライグマの妊娠率と産子数を年齢別に算出して比較することで、雌アライグマの繁殖状況がどのように変化したかを調査した。2003~2005年と2021年に捕獲された雌アライグマを研究対象とし、子宮内の胎子および胎盤痕を数え、妊娠率および産子数を算出した。アライグマの年齢は頭骨を用いて5~11ヶ月齢、1歳、2歳以上に分類した。2003~2005年に捕獲された雌アライグマの妊娠率は5~11ヶ月齢が0%、1歳が59.1%、2歳以上が95.0%であった。平均産子数は1歳が3.7頭、2歳以上が4.5頭であった。2021年に捕獲された雌アライグマの妊娠率は5~11ヶ月齢が0%、1歳が77.8%、2歳以上が100%であった。平均産子数は、1歳が4.1頭、2歳以上が4.5頭であった。雌アライグマの繁殖状況を2003~2005年と2021年で比較した結果、1歳の妊娠率・平均産子数ともに増加していることが明らかとなり、北海道のアライグマ個体数が急激に増加しているのは、若齢個体の繁殖力の増加が原因の一つとして考えられた。今後は、繁殖に関わる性ホルモンの分析を行うことで、なぜ雌アライグマの繁殖力が増加しているのかを明らかにする必要がある。


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