| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨 ESJ69 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-257 (Poster presentation)
国内の淡水域に侵入している外来貝類は、ジャンボタニシと呼ばれているスクミリンゴガイを筆頭にコモチカワツボ、サカマキガイ、インドヒラマキガイ、カワニナ類、モノアラガイ類、シジミ類など複数種が知られている(国立環境研究所 侵入生物DB)。しかし、これらの外来種の国内への侵入経路は不明なことが多い。家庭のアクアリウムを介して野外に侵入したのではないかと推定されることもあるが、その移入経路の実態はほとんどわかっていない。
そこで、家庭のアクアリウムに外来貝類がいるとするならば、家庭のアクアリウムの外来種の起源はペットショップのアクアリウムではないかと推定し、2019年より先行研究としてペットショップ産業の外来巻貝の調査を行っている。その結果、ペットショップのアクアリウムへの外来巻貝の侵入率はほぼ100%であること、ペットショップでは意図せず水槽内で増殖してしまう貝(迷惑貝)と商品として販売される貝(苔取り貝)の2つのカテゴリがあること、ホームセンターの屋外園芸コーナーの水草にも外来巻貝が付着していることが明らかになった。
本研究では、外来貝類の家庭を介した野外への侵入リスクを検討するため、ペットショップ産業の外来貝類の継続調査を行うと共に、新たに園芸コーナーの水草売り場と家庭のアクアリウムについても外来貝類調査を行った。そして、家庭に外来貝類が持ち込まれる経路について推定した。
調査の結果、ペットショップの迷惑貝、苔取り貝どちらにも外来貝類が複数含まれていること、園芸コーナーの水草からも高確率で外来貝類が発見されることがわかった。また、家庭に外来貝類が侵入した実例も得られ、アクアリウムと園芸と異なる2つルートから家庭に外来貝類が侵入する可能性が示唆された。