| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨 ESJ69 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-266 (Poster presentation)
コロナ禍の中においても、我が国への外来生物の侵入は続いている。ヒアリSolenopsis invictaの侵入事例数を例にとると、2017年の26事例から2019年10事例へと一時は減少したものの、2020年16事例、2021年20事例と再び増加傾向にあり予断を許さない。国立環境研究所ではコロナ禍初期から、遠隔地においても外来昆虫の情報を共有した上での適切な防除を可能とするために、各地方自治体と連携を強化したリモート防除システム構築を推進してきた。そして同時に、外来昆虫の早期発見・早期防除のための多岐に渡る新技術開発を強化してきた。ヒアリに関しては、2020年以降、大阪港・名古屋港・東京港において発見された野外巣について、現地と映像を共有したリアルタイムでの緊急防除およびモニタリングに対する技術支援を実施した。さらに、長崎県対馬市に定着したツマアカスズメバチ Vespa velutinaの個体群については、昆虫成長制御剤(IGR剤)を用いた化学的防除の地域レベル野外試験を2020年より、自治体との協働で推進している。2020年に新たに特定外来生物に加わった南欧原産のハヤトゲフシアリLepisiota frauenfeldiに関しては、福岡県福岡市の侵入個体群について、自治体と連携の上、液剤散布による化学的防除を2019年より継続的に遂行し、2020年6月12日に最後の個体を確認して以降、個体数0の状態を保っている。本講演ではこれら、地方自治体と緊密な連携のもとで実施した外来昆虫防除の実例を紹介すると共に、防除技術開発の最新成果を報告する。