| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-339  (Poster presentation)

UAV空撮画像におけるフェノロジーを利用した樹種判別:都市圏の里山林の構造解析
Distinction of individual tree species with phenology on aerial images taken by an unmanned aerial vehicle in SATOYAMA ecosystem.

*友常満利(玉川大学農学部), 小島崇弘(玉川大学農学部), 永井信(海洋研究開発機構), 小林祥子(玉川大学農学部), 関川清広(玉川大学農学部)
*Mitsutoshi TOMOTSUNE(Tamagawa Univ.), Takahiro KOZIMA(Tamagawa Univ.), Shin NAGAI(JAMSTEC), Shoko KOBAYASHI(Tamagawa Univ.), Seiko SEKIKAWA(Tamagawa Univ.)

都市域に残された里山林を構成する樹木の種類組成を知ることは、里山生態系の生態系サービスを評価するために重要な基礎情報となる。本研究では玉川学園キャンパス内に残された都市型の里山林を対象に、UAV(ドローン)を用いて6つの時期に空撮を行い、それらの画像の比較から樹種の判別を試みた。対象の樹木は関東の都市域に広く見られる9種とし、画像の比較には地理情報システム(GIS)を用いた。その結果、3種の落葉広葉樹(コナラ、クヌギ、ソメイヨシノ)においては、紅葉や落葉、開花の時期が異なることから容易に識別が可能であった。一方、3種の常緑広葉樹(シラカシ、クスノキ、マテバシイ)においては、季節を通して特徴的な生物季節(フェノロジー)が検出されず、識別が困難であった。しかし、これらは展葉や新・旧用の入れ替わり、開花の時期などが異なると過去の文献で示されており、空撮の時期を変えることで識別できる可能性が残された。2種の常緑針葉樹(スギ、ヒノキ)と1種の竹(モウソウチク)においては、フェノロジーの違いのほか、特徴的な樹形により識別された。以上のことから、異なる季節の空撮画像と樹木のフェノロジーを利用することで、里山林を構成する樹木の種類を判別できると判断された。この手法は都市域に残された里山生態系の構造解析に有効であると考えられ、今後のさらなる研究が期待される。


日本生態学会