| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-340  (Poster presentation)

車載カメラ画像を用いた桜開花マッピング 【B】
Cherry blossoms mapping using geo-tagged street-level photos 【B】

舟田宗弥, *堤田成政(埼玉大学)
Shuya FUNADA, *Narumasa TSUTSUMIDA(Saitama Univ.)

生物季節は季節の遅れ進みや気候の違い・変化など総合的な動植物の環境応答を把握する上で重要である。気象庁は1953年より生物季節観測を実施してきたが、2021年よりその観測種目が大幅に削減された。継続的な観測に向けて市民参加型調査による生物季節観測の発展的な調査手法の確立が求められるが、観測キャンペーンの継続性や市民調査員の観測結果の不確実性など、課題も少なくない。そこで本研究ではソーシャルセンシングに着目し、インターネット上から得られた位置情報付き街路写真より生物季節の代表的な種である桜の開花を検出し、その結果を地図化するシステムを構築した。桜の開花を検出する深層学習モデルを開発し、Mapillaryから取得した福島県会津若松市市街地における2018年4月1日から4月30日までに撮影された28999枚の街路写真をモデルに適用し、その結果を地図化した。開発した桜開花検出モデルの精度を表す正解率、適合率、再現率、特異率はそれぞれ82.88%、80.41%、51.46%、95.13%となった。低い再現率は、検出モデルが桜の開花を見逃してしまう傾向があることを示唆している。実際に、構造物などの背後に見られる桜などの検出が難しかったものの、誤検出は比較的少なく、桜の開花の時空間分布を地図化することに成功した。本システムによりこれまでにない大規模な桜開花情報の収集が期待される。


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