| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-364  (Poster presentation)

コロナ禍での生態学教育-国連子ども環境ポスターの活用
Ecological education in Corona pandemic - Use of Children's environment poster

*畑田彩(京都外国語大学), 鷹木朗(京都芸術大学), 宗田勝也(総合地球環境学研究所), 阿部健一(総合地球環境学研究所)
*Aya HATADA(Kyoto Univ. of Foreign Studies), Akira TAKAGI(Kyoto Univ. of the Arts), Katsuya SODA(RIHN), Ken-ichi ABE(RIHN)

環境問題は、現代の人類にとって解決困難な課題の一つである。環境問題は突き詰めると我々人類のライフスタイルに原因があり、根本的な解決には個々の市民がその暮らし方を変えていく必要がある。このような点から、21世紀の市民に対し、環境教育の果たす社会的役割は非常に大きい。特に、先入観が確立しておらず、一律の教育が行える小学校・中学校での環境教育は重要である。
しかしながら、現在行われている環境教育は「最も環境教育が必要な子どもたちに効果的な環境教育ができない」という問題を抱えている。都市部で生活する子どもたちの日常生活はますます自然体験と剥離している。その上「田舎の祖父母の家に行く」という非日常的な自然体験すら、都市部へ流出した団塊世代が祖父母の世代になることによって減ってきている。COVID-19による外出自粛はさらに拍車をかけた。さらに、義務教育のカリキュラムにも、環境教育とリンクのある科目や内容はあるもののいずれも断片的で、体系的な環境教育ができないという問題点がある。
そこで、本研究では、小中学校での環境教育の新たな場として「図画工作」「美術」での鑑賞を活用することを提案する。
総合地球環境学研究所は「国連子ども環境ポスター」コンテストの応募作品約20万点を所蔵しており、これらの絵画を教材として用いている。コロナ禍の影響もあり、学校での鑑賞教育に活用するまでには至っていないが、2021年度は①絵画の選定及びデジタル化、展示用絵画の作成、②教員免許状更新講習でのWS(京都芸術大学)、③博物館学芸員資格取得科目での教育プログラム開発(京都外国語大学)④親子対象の紙しばい作りのWS(越後松之山「森の学校」キョロロ、COVID-19感染拡大のため中止)を企画・実践した。また、小中学校で学ぶ科目の目的や内容を概観し、ポスターを使った鑑賞教育を科目横断的に行う方法を模索した。本発表では、これらの活動の中間報告を行う。


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