| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-367  (Poster presentation)

博物館への質問や自然観察会、SNSを基点とした新たな生態学・自然史情報の発掘
Discover new ecology and natural history information based on museum activities

*金尾滋史(滋賀県立琵琶湖博物館)
*Shigefumi KANAO(Lake Biwa Museum)

 博物館では地域で開催される自然観察会や博物館へ寄せられた質問において、思わぬ生物の発見や生態学・自然史に関する情報が得られることがある。このような「意図していない情報」が集まり、それに科学的な価値づけを行うことで、従来の参加型調査と同規模かつ相乗効果を生む自然史情報の集積ができるのではないだろうか?。そこで、滋賀県内で実施されている博物館事業、特に「観察会」「博物館への質問・問い合わせ」の情報に加え、「地域住民がSNSなどで日常発信」に関して、滋賀県の生物相把握へ寄与した事例を検討した。
 自然観察会は大人数で採集を行う機会でもあり、これまでに滋賀県内で未確認だった魚類であるナガレホトケドジョウが2011年に発見されたり、平野部の水路で未確認であった国外外来種コクチバスが発見されたりと、これまでの調査でも見つからなかった種が確認される事例があった。また、博物館への質問では、利用者が自分で採集した生物の同定や詳しい解説を尋ねる中で、県内未記録であったハラグロオオテントウの発見や約30年ぶりの記録となったコガタノゲンゴロウの再発見に繋がる事例が見られた。頻度的にこのような事例は、1年に2~3件であり、特に昆虫の分野において新たな情報が得られることが多かった。これらは、県外の博物館においても同様であり、特に利用者から持ち込まれた写真や資料がきっかけとなり、県内初記録、確認記録が少ない種が報告された事例が確認された。また、多くの記録としては、「普段見たことがない」在来種に加え、外来種の発見などがみられた。SNSについても同様であり、特に滋賀県では2010年代に増加しているヌートリアが2010年代からTwitterなどで目撃例が増加していた。


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