| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-04  (Poster presentation)

サボテンの刺座の配列に規則性はあるのか
Is there a regular arrangement of cactus stabs?

*前田智彦, 岸上栞菜, 武内優果, 本脇敬人, 吉田龍之介(県立姫路東高等学校)
*Tomohiko MAEDA, Kanna KISHIGAMI, Yuuka TAKEUCHI, Keito MOTOWAKI, Ryuunosuke YOSHIDA(Himejihigashi  High School)

学校の研修で筑波実験植物園を訪問した際、温室内に展示されているサボテンに強い興味をもった。展示されている複数の種類のサボテンの刺座が、螺旋を描いて配列しているように見えたからである。多くの植物の葉は、茎に対して決まった位置関係で配置している。サボテンの刺座は葉が変化したものであるため、同様に数理学的な規則性をもって配列しているのではないかと考え、サボテンの系統樹を参考にして、近縁種から遠い種まで10種類のサボテンを用いて研究をおこなった。試料は、武倫柱、金晃丸、金青閣、墨烏帽子、雷鳥丸、大福丸、紫太陽、新天地、福禄竜神木、英冠丸である。
真上から見たとき、すべての種のサボテンで、中央部に位置する刺座を基準(原点)として、刺座は左回りと右回りに螺旋状に配列し、共有刺座で出会いながら下方に伸びている。刺座に垂直に針を刺し、原点と1つ目の共有刺座とを結ぶ線分をX軸、これに直角な線分をY軸とし、原点と1つ目の共有刺座間の距離を1として、左回りと右回りに、それぞれの刺座の位置の座標を求めた。さらに、サボテンを真横から見て、原点と刺座まで、あるいは刺座間の高さの差を測定した。
同一個体であれば、環境によって水分量や個体の大きさが変わっても、刺座の配列の位置関係は変わらない。真上から見た際の刺座の水平座標や、真横から見た際の刺座間の距離は個体ごとに異なり、共有刺座間のなす中心角にも規則性は見られない。系統樹における種の位置づけと刺座の配列にも規則性は見られない。サボテンは太い茎につく刺座が他の植物より多く、茎部分の形状などの個性によって刺座の位置が受ける影響は他の植物よりも大きい。それぞれのサボテン種本来の形状をもつ個体を調べることで、規則性が明らかになる可能性がある。


日本生態学会