| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-12  (Poster presentation)

学校林におけるシカ柵設置による植生の変化
Vegetation Survey by Setting Deer Proof Fence in Our School Forest

*羽原優維(京都府立莵道高等学校)
*Yuui HABARA(Kyoto Pref. TODOH H.S.)

莵道高校には「莵道の森」と呼ばれている学校林がある。林内には複数の植生が混在しており、学校林の入り口から順に、二次林(コナラ・サクラが優占)、大雨による土砂崩れによってできた草原(ススキが優占)、人工林(スギが優占)となっている。学校林は多くの動物が利用しており、特にニホンジカが多数確認されている。
現在、ニホンジカの増加が日本各地で問題になっている。シカの増加は、農作物の食害だけでなく、森林植生にも大きく影響を与えている。私たちは、侵入防止ネット(シカ柵)で囲った場合とそうでない場合で、生える植物の種類や植物の成長に違いは生じるのかについて疑問に思い調査をした。調査を行うにあたり、「シカ柵無しはシカが入るため食害を受けるが、シカ柵有りはシカに入られることがないため、植物の被度と高さは高くなり、種類も多くなる」と仮説を立てた。
調査方法は学校林に2m×2mのコドラートを2つ設置し、一方のみをシカ柵で囲った。2つのコドラート内をそれぞれ4区に区分し、植物の被度と高さ、種類を記録し、平均値を求めた。調査期間は2021年5月~12月で、月に1回、計8回それぞれのコドラート内を調査した。被度は0~10の11段階、高さはmm単位で記録した。
結果として、高さはシカ柵ありの方が植物の被度と高さは高く、種類が多い傾向があった。また、シカ柵なしは9月に被度が減少していた。
被度、高さは概ね仮説通りの結果が得られた。9月のシカ柵なしでの被度の減少は、シカの増加の影響と植物の成長時期とのかね合いと考えた。
 
羽原優維 Yuui HABARA、翁長柊翔 Syuuto ONAGA、横田乃々華 Nonoka YOKOTA、
小笠原隼秀 Toshihide OGASAWARA、桐山敬輔 Keisuke KIRIYAMA、佐竹葵 Aoi SATAKE、吉島麗夏 Reika YOSHIJIMA


日本生態学会