| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨 ESJ69 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-23 (Poster presentation)
ツバメは土と藁でお椀型の巣を家の軒先などに作り、近縁種であるコシアカツバメは天井と壁に接するように、とっくり型の巣を土で作る。
ツバメ類の巣の接着強度に関わる物質を明らかにする目的で、土に水や藁を混ぜて板に貼り付け、乾燥後、板から外すのに必要な力を測定した。土に水を混ぜて乾燥させただけでは接着強度は得られないが、藁を混ぜると接着強度がやや向上した。ツバメの巣を崩し、水を混ぜて板に貼り付け乾燥させたところ、藁が含まれている時は接着強度が得られたが、藁を除くと接着強度は得られなかった。一方、コシアカツバメの巣では、巣に水を加えただけで、十分な接着強度が得られた。また一般に唾液に含まれているといわれている糖タンパク質のムチンを土に混ぜて、同様の実験を行ったところ、接着強度が向上した。なおツバメやコシアカツバメの巣にムチンが含まれているかどうかは不明である。
ツバメの巣は藁が含まれており、藁によって接着強度が向上したと考えることができるが、コシアカツバメの巣には藁が含まれておらず、土だけでは接着強度が得られないことがわかっている。これらの結果からコシアカツバメの巣には土以外に何か強度に関する物質が含まれている可能性があると考えられる。