| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨 ESJ69 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-28 (Poster presentation)
タマネギは横に膨らむ楕円形である。なぜタマネギは横へ膨らむ楕円形であるのか、そしてどのような成長過程を踏むことによってタマネギ型が形成されるのか。3つの実験からその疑問を解決していくことを試みた。
実験1では鱗葉の厚みが関係あるのではないかと考え、鱗葉ごとの厚みを測った。その結果、鱗葉は中部の厚さが一番厚くなっていた。さらに、上部では内側1枚目から6枚目まで、中部、下部では1枚目から4枚目まで厚みが増加していき、それ以降は共に減少傾向が見られた。
実験2では鱗葉の質量と体積を測った。その結果、鱗葉の質量は1枚目から8枚目まで増加していて10枚目では減少していた。体積は1枚目から8枚目までは増加傾向にあるが、8枚目から10枚目にかけて一定となった。10枚目の鱗葉で体積は減少せず質量のみ減少していることから10枚目の鱗葉で蒸散が起こったと考えられる。
実験3ではタマネギの表皮細胞と葉肉細胞の大きさを測った。その結果、表皮細胞では全体的に長径・短径ともに2枚目から8枚目にかけて肥大していた。葉肉細胞では上部・中部・下部の三か所で1枚目から5枚目にかけて葉肉細胞は肥大していき、その後ほぼ一定の値をとった。
実験4ではタマネギの成長過程の観察をした。その結果、苗植え付け22週間後は膨らみ方での大きな変化は見られなかったが、30週間後では棒状から卵状になっていき、34週間後には横に膨らむタマネギ型になっていた。
実験1~3により、葉肉細胞の肥大成長は5枚目で止まり、葉肉細胞間の位置関係のズレが生じることにより、葉肉の幅が短くなると考えられる。5枚目より外側の鱗葉は葉肉細胞の移動により葉を薄くし、タマネギ型を形成していくと考えた。