| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-30  (Poster presentation)

ねぐら入りするツバメ集団の時刻ごとの動きと個体数変移
Population changes and movements of roosting Barn swallow

*田上侑慎, 橋口紗知, 濱邊天空, 村山瑞香(熊本中央高等学校)
*Yushin TANOUE, Sachi HASHIGUCHI, Sora HAMABE, Mizuka MURAYAMA(Kumamoto Chuo high school)

ツバメHirudo rusticaは、特定の時期に限り、日没頃からねぐらに集まり、集団で休息することが知られている。熊本県熊本市の中央区に位置する坪井川遊水地のヨシ原でも、毎年ツバメのねぐら入りが確認されていたため、そのねぐらに集まるツバメの総個体数と、何時ごろからどのような推移で個体数が変化し、ねぐら入りが完了するのかについて研究した。研究の結果、本研究の調査地では、ねぐら入り個体数が最大で約12,000個体になることがわかった。また、ねぐら上空の個体数が日没時刻の約15分後に最大となることがわかった。ねぐら入りが完了する時刻は、上空の個体数が最大となった時刻の5~10分後だった。調査地には、広く南北に伸びるヨシ原があったが、ねぐら入りに使われるのは、中央付近の限られた範囲のヨシ原であることがわかった。しかし、中央付近のヨシ原に塒入りするまでは、北側と南側のヨシ原の上空にも、中央の上空と同じように多数のツバメが集まっていた。北と南の集団は、その後ねぐら上空の個体数が最大となった時刻を過ぎたあたりで中央のヨシ原の上空に移動していた。このことから、ツバメはねぐら入りをするときに、何らかの条件によって休息するヨシ原を選んでいると考えられる。中央のヨシ原にのみ池の水中から突出した植物が繁茂する抽水植物帯が広くあり、北側と南側はそうでなかったため、その違いがツバメのねぐら利用に関係したのかもしれない。


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