| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-37  (Poster presentation)

兵庫県産チチブおよびヌマチチブにおけるミトコンドリア DNA の地理的分化
Geographical differentiation of mt DNA in Tridentiger obscurus and T. brevispinis from Hyogo prefecture

*鎌倉亜斗夢, 鈴木凱斗, 安村恵, 鈴木一誠, 木村友紀, 知覧友昭, 堅田慎也, 大畑優翔, 瀧本陸登, 渡部嘉蔵(尼崎小田高等学校)
*Atomu KAMAKURA, Kaito SUZUKI, Megumi YASUMURA, Issei SUZUKI, Tomoki KIMURA, Tomoaki CHIRAN, Shinya KATADA, Yuto OHATA, Rikuto TAKIMOTO, Kagura WATANABE(Amagasaki-Oda High School)

チチブTridentiger obscurusとヌマチチブT. brevispinisは競争的排除関係にあり, 形態的に酷似している. 交雑実験および形態観察・アロザイム解析により別種とされている. また核DNA解析においても両種が区別された. 両種はミトコンドリアを共有し, 同所的生息地においては雑種も報告されている. 私たちは両種間の雑種及び生殖的隔離の有無の確認をおこなうことを目的とした. 兵庫県南部近辺で釣りによる採集を行い, 形態的観察および核DNA ryr3領域の解析により, 種判別および雑種判別を行った. さらにmtDNAのcytb領域を解読し, ペアワイズFst値を求めた.採集した187個体のうちチチブが133個体, ヌマチチブが54個体であった. 雑種は確認されなかった. 両種とも, 種内の地域個体群間の遺伝的な分化は見られなかった(P>0.05). しかし,種間比較をした場合はすべての組み合わせで, 同所的生息地においても, 大きな遺伝的な分化が見られた(P=0,ペアワイズFst値は0.23801~0.35752)であった. 両種とも種内では, 兵庫県南部近辺において, 地理的隔離は存在しないと推定できた. またチチブとヌマチチブはミトコンドリアを共有し, 同所的生息地においては雑種も報告されているが, 両種間には生殖的隔離が存在することが示唆された.


日本生態学会