| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-45  (Poster presentation)

姿を変える変形菌の胞子はどこへ
Where do the spores of myxogastria that change shape go?

*藤原佑吾, 長田悠生, 金盛志祐, 村上颯志, 八杉凌司(兵庫県立小野高等学校)
*Yuhgo FUJIWARA, Yuuki OSADA, Shiyu KANAMORI, Souji MURAKAMI, Ryoji YASUGI(Ono High School)

変形菌は多核単細胞のアメーボゾアに属する生物で少しずつ形を変え、動きながら栄養を得る変形体の時期と、胞子を作り散布する子実体の時期がある。変形菌は変形体の時期にあるものを採取し、培養することができる。この変形菌の変形体は単細胞生物であるのに迷路を最短距離で解いたりするなど単細胞生物とは思えない不思議な生物である。この変形体は飢餓や乾燥、温度、光刺激などによって子実体形成を始める。子実体が持つ袋のような構造の中に胞子が入っており。それが風によって飛ばされ、胞子散布を行う。

そこで僕たちは種類ごとに様々な構造を持つ子実体の胞子の散布についてどんな構造を持つ子実体が散布に有利なのか、その違いはどのようなものであるかを3Dシミュレーションによって調べる。

3Dシミュレーションは、このような流れで行う。まず、子実体のモデルをblenderというモデリングソフトを用いて作成する。そして、子実体のモデルにXSimというWebアプリケーションを用いてどのようなシミュレーションを行うかの設定を行う。最後にOpenFOAMというオープンソースのツールボックスでシミュレーションの計算を行い、ParaViewというソフトを用いてシミュレーション結果を可視化する。これらの作業を通して得たシミュレーション結果を通して、それぞれの子実体に風を当てた時の子実体周りの風の動きを観察することで子実体の形状の違いによる胞子が散布される様子の違いを推測することを試みている。現在、私たちは数パターンのケースで子実体周りの風を観測することに成功している。しかし、これらのケースの精度は正しい結果といえるほど高いものには到達していない。これからの研究では、作成したシミュレーションのケースの精度を上げていくとともにさらに多くのシミュレーションケースを作成していきたいと考えている。


日本生態学会