| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


シンポジウム S08-2  (Presentation in Symposium)

生態学的ビッグデータと統計モデリングによる生物多様性評価の高度化
Utilizing ecological big data and statistical modeling toward a better assessment of biodiversity

*深谷肇一(国立環境研究所)
*Keiichi FUKAYA(NIES)

生物多様性条約ポスト2020枠組みと、関連する次期生物多様性国家戦略の検討が進められている。これらにおける目標の達成に向けて、生物多様性の現状と傾向を正確に把握するための科学的取り組みが求められる。これに関連して近年大きく発展しているのが、生物の出現情報と地理環境データを関連付け、種の地理分布の予測を可能とする種分布モデリングである。種の出現記録の利用可能性が大きく向上したことや、扱いやすい解析ツールが整備されたことなどを背景に、種分布モデリングに基づく詳細な分布地図が多くの種で得られるようになった。高い解像度で可視化された生物多様性の地理情報は、保全利用計画や関連施策に有用な情報を与えることができる。一方で、種分布モデリングの応用の大部分は在限定(presence-only)データを用いて行われている。そのため、生息確率や個体数量、種間相互作用など、個体群や群集を特徴付ける高次の特性についての地理的解析は依然限られている。本講演では、生物多様性評価の一層の高度化につながる種分布モデリングの発展の展望や、観測手法の進歩による新たな機会について考察したい。


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