| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


シンポジウム S08-5  (Presentation in Symposium)

海洋保護区効果の持続性
Long-term conservation effects of marine protected areas

*高科直(東京大学)
*Nao TAKASHINA(The University of Tokyo)

保護区導入は人間活動の影響を緩和させる中心的な保全方策であり,その効果的な導入手法が近年の生物多様性保全の重要課題となっている。保護区の導入には取引費用をはじめとする多大な費用が生じるため,ひとたび策定した保護区を再配置するという方針はあまり現実的ではない。そのため,予め長期的な保護区効果を予測し,その持続性を明らかにすることが重要である。本研究ではこの目的のため,確率的に変動する空間明示的な個体群動態を数理モデルにより記述し,保護区効果の時間的変動を議論する。この際,変動係数を長期的保護区効果の尺度とした。その結果,保護区内において個体の死亡率を減少させるなどの実効性のある保護区を導入すると,多くの場合持続性のある保護区となることが示され,反対に実効性に乏しい保護区を導入すると,変動係数が増加し,個体数の時間的変動を大きくするという結果が得られた。本講演においては,ポスト2020目標のもと,今後どの様な保護区を提案していくべきかについても議論したい。


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