| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨 ESJ69 Abstract |
シンポジウム S21-5 (Presentation in Symposium)
メタン(CH4)は二酸化炭素(CO2)の25倍の温暖化ポテンシャルを持つ重要な温室効果ガスであり、近年大気中のCH4濃度の急増が懸念されている。CH4放出の主因は化石燃料や湿地、農業活動、廃棄物などであり一方、大気中の化学反応及び水分で不飽和な土壌における微生物分解によるCH4 を吸収されている。森林土壌は全陸域土壌呼CH4吸収量のおよそ50%を占めており、気候変動の将来予測やCH4排出削減の方針を策定する際に森林土壌CH4吸収量を正確に把握することが重要な課題となる。土壌CH4の吸収能は土壌中のガス拡散速度に強く依存するが、気候変動に伴う土壌CH4吸収能の時空間的変動パターンや環境要因に対する応答は統一的な見解が得られていない。本研究は日本国内のある異なる土壌タイプの三林分、すなわち、粗粒火山灰土壌である富士北麓のカラマツ成熟林、乾性褐色森林土である瀬戸内地方のアラカシ優先林、及び黒ボク土である関東地方のアカマツ林において国立環境研究所が独自に開発した大型自動開閉式チャンバーシステムを用いて、土壌CH4とCO2フラックスの長期連続観測を行ってきた。本発表では長期観測データに基づき、土壌CH4とCO2フラックスの時空間的の変動要因について解釈する。