| 要旨トップ | ESJ69 自由集会 一覧 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


自由集会 W21  3月18日 18:30-20:00 Room C, 現地開催/ライブ配信あり/見逃し配信対応

成果ベースの環境配慮型農業
Payment by results in environmentally friendly farming

西川潮(金沢大学), 田中勝也(滋賀大学)
Usio NISIKAWA(Kanazawa University), Katsuya TANAKA(Shiga University)

日本の農村では、戦後、急速に普及した化学物質を多用する集約農業と、過疎・高齢化による管理放棄の影響を受けて、水田の生物多様性や生態系機能が著しく劣化した。そのため、全国各地で、食の安全と生態系再生を目的とした環境配慮型農法の取組みが進められている。しかし、現行の日本の環境配慮型農法の取組みに対する補助金は、申請内容に基づいて補助金が支払われる「行為連動型支払い」であるため、生態系再生の実効性が低いとされている。近年、ヨーロッパでは、実績ベースで補助金が支払われる「成果連動型支払い(Payment by results; PbR)」が注目を集めている。PbR発祥の地であるイギリスでは、最初に医療・福祉分野でPbRが導入され、2000年代後半から、農地に自生する希少植物の種数やヒバリなどの鳥類の営巣数を成果指標とした直接支払いが試験的に導入されている。PbRでは、成果を達成した農家のみに補助金が支払われるため、理論上は生態系再生の実効性が高いとされる。一方で、生物は時間的空間的に個体数や種数が変動するため、これらを成果指標とするうえで課題も多い。本集会では、最初にEUによるPbRの現状を紹介し、次に、石川県羽咋市と滋賀県におけるPbRの実現可能性に関わる社会調査の結果を報告する。最後に、総合討論として、日本の環境配慮型水稲農業におけるPbRの実現可能性について、生態学的な視点を踏まえて会場と意見交換したい。

1.ヨーロッパにおける成果連動型支払い
西澤栄一郎(法政大学)

2.羽咋市の自然農業における成果連動型支払いの実現可能性:生産者の選好性の解析
邱燦旭(滋賀大学)

3.滋賀県における成果連動型支払いの実現可能性
田中勝也(滋賀大学)

4 総合討論


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