| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(口頭発表) C02-02  (Oral presentation)

一般化線形モデルによるデータ解析と交互作用項:説明変数が多数ある場合【B】
Data analysis by Generalized Linear Models and interaction terms: cases with many explanatory variables【B】

*粕谷英一(大阪公立大学)
*Eiiti KASUYA(Osaka Metropolitan University)

生態的なデータでは、変数がほかの変数にどう影響しているかを検討した分析がよく行われる。重回帰、分散分析、ロジスティック回帰、分割表の分析、カウントデータ回帰等を含む一般化線形モデル(GLM)など、広い意味での回帰がその例である。そのような分析では、説明変数がほかの変数(目的変数、応答変数)に影響すると想定しており、分析者の最も強い関心の対象は、説明変数の係数であることが多い。説明変数の係数がゼロと有意なちがいがあるかといった検定や係数の区間推定などもよく行われる。生態的なデータの解析では、目的変数に対して一つではなく複数の説明変数を考えることが多い。複数の説明変数があるなら、説明変数の係数は他の説明変数を一定に保った時の、その説明変数が目的変数に与える効果を表す。
 複数の説明変数が存在すると、ある説明変数が目的変数に与える効果が、他の説明変数の値により異なる可能性が生じる。ある説明変数による効果の、他の説明変数の値への依存性を表すのが、交互作用(interaction)である。交互作用に対して、説明変数自体を主効果(main effect)と呼ぶ。交互作用の項があると、交互作用項がないときとは、説明変数自体(主効果の変数)の係数の意味が異なる。たとえば、2つの説明変数とその間の交互作用項の場合には、主効果の係数は単純な意味を持つ。2つの説明変数(x1とx2とする)のうちx1が名義尺度の変数であると、もう片方の説明変数x2の係数は、データの全体ではなく、データの内の一部におけるx2と目的変数の関係を示す。
 説明変数が3つの場合について、交互作用項が存在するときに主効果の係数はどのような意味を持つかを検討する。また、さらに多くの説明変数があるときにも2説明変数や3説明変数の場合の結果が拡張できるかにもふれる。


日本生態学会