| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(口頭発表) C02-11  (Oral presentation)

国立環境研究所における外来社会性昆虫防除システム構築と高度化
Establishment and advancement of invasive social insects control system at National Institute for Environmental Studies

*坂本洋典(国立環境研究所), 坂本佳子(国立環境研究所), 神宮周作(対馬市役所), 中嶋信美(国立環境研究所), 五箇公一(国立環境研究所)
*Hironori SAKAMOTO(NIES), Yoshiko SAKAMOTO(NIES), Syusaku SHINGU(Tsushima city government), Nobuyoshi NAKAJIMA(NIES), Koichi GOKA(NIES)

2023年度より施行される改正外来生物法では、ヒアリSolenopsis invictaやアカカミアリS. geminataなどヒアリ類を対象に「要緊急対処特定外来生物」という防除主体の権限を強化した新規カテゴリーが創設される。この改正が示すように、我が国への外来社会性昆虫の侵入・定着は極めて差し迫った状況にある。2022年には、一つのコンテナから7万個体強のヒアリという過去に類例をみない多数の侵入が報告された。また、長崎県対馬に定着しているツマアカスズメバチVespa velutinaは、2022年に福岡県において女王複数および巣が発見され、九州本土での定着が強く懸念される。さらに国内定着確認から30年を経たアルゼンチンアリLinepithema humileは、大阪国際(伊丹)空港に侵入し、国際空港への定着という異常事態まで引き起こしている。国立環境研究所ではこれら緊急性の高い外来昆虫の迅速な防除を可能とすべく、各地方自治体との連携強化と共に、早期発見・防除のための新技術開発を推進してきた。ヒアリに関しては、接触毒性試験およびコロニー毒性試験の手法を開発し、薬剤の有効性に関する定量評価を可能とした。また、究極の水際対策として開発を進めてきた輸入コンテナ内のワンプッシュ型エアゾール剤による防除(消毒)手法の行政指針の作成を進め、実装準備を整えた。ツマアカスズメバチについては、長崎県対馬において、自治体との協働のもと、ベイト剤による化学的防除の野外試験を2020年より継続的に推進しており、その成果に基づき、福岡県の侵入個体群防除にベイト剤の実装を開始した。アルゼンチンアリに対しては共同研究として企業が新たに開発した顆粒ベイト剤を伊丹空港個体群に対して試用し、低密度化に成功した。さらに、アルゼンチンアリ検出用LAMPキットを近隣の空港に配布し、早期発見の技術支援を実施した。改正外来生物法では、都道府県の防除責務が明文化されており、国立環境研究所では、防除技術開発と併せて、地域連携体制の強化に取り組んでいる。


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