| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(口頭発表) C02-12  (Oral presentation)

広域分布する侵略的外来種管理における地域的防除の課題と展望
Challenges and prospects for regional control in management of widespread invasive alien species

*池田透(北海道大学), 鈴木嵩彬(岐阜大学), 淺野玄(岐阜大学)
*Tohru IKEDA(Hokkaido Univ.), Takaaki SUZUKI(Gifu Univ.), Makoto ASANO(Gifu Univ.)

 外来生物法改正において、国と地方公共団体による防除の連携によって防除体制の強化が図られることとなった。これまでも「外来種被害防止行動計画」において、外来種対策に関係する各主体の役割分担が強調されてはいたものの、具体的な予算措置等が行われることはなく、慢性的な防除予算不足を背景に、侵略的外来種に対する効果的な地域防除の展開には至っていない。局所的に分布する侵略的外来種については地域的根絶に成功しているものもあるが、広域的分布を示す種については防除体制の構築すらままならい状況にある。そこで、本研究では、国と地域が協働で効果的な防除を展開しいるニュージーランドの防除体制との比較において、日本の国と地方自治体における防除体制の課題を整理して今後の展望を考察する。外来種防除対策において多くの成功事例を有するニュージーランドにおいては、2050年までに持ち込んだすべての捕食者を根絶することを目的とした「Predator Free 2050」計画を政府が提唱して予算を提供しており、地方自治体(Regional Council)は地域のNGOやトラストを束ねて地域的防除計画を立案して予算を申請・獲得し、防除を実施している。事業においては、基本的には個々の事業参加者グループが主体となって手法や戦略を決定するが、Department of Conservation や Landcare Research といったアカデミック部局が手法や戦略のアドバイスを担い、科学的防除展開の一翼を担っている。こうした地域の包括的事業計画の立案・実施において鍵を握るのが地域防除計画マネージャーの存在であり、このような効果的体制づくりのために日本が克服すべき問題とその可能性について議論する。(本研究は、(独)環境再生保全機構の環境研究総合推進費(JPMEERF20204006)により実施した)


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