| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(口頭発表) D02-05  (Oral presentation)

核rDNA-ITS領域を対象とした環境DNA分析によるコイの交雑レベル推定
Estimation of hybridization levels of common carp by environmental DNA analysis targeting the ITS region of nuclear ribosomal DNA

*岡田経太, 内井喜美子(大阪大谷大学)
*Keita Henry OKADA, Kimiko UCHII(Osaka Ohtani Univ.)

琵琶湖には日本在来系統のコイ(Cyprinus carpio)が生息する一方、ユーラシア大陸から導入された個体に由来する外来系統が侵入している。両者は交雑することが知られ、在来系統の遺伝的な喪失が危惧されている。近年、湖水や河川水に含まれるミトコンドリアDNA(mtDNA)にもとづいて在来および外来遺伝型の存在比を定量的に推定する手法が開発された。本手法を適用すれば、琵琶湖における両遺伝型の分布状況を迅速に推定できると見込まれる。しかし、母系遺伝するmtDNAによる評価は集団における交雑状況を反映しない可能性がある。そこで本研究では、核リボソームDNAのinternal transcribed spacer(ITS)領域を対象に環境DNA分析をおこない、両親の遺伝情報を反映した評価により、地域個体群における在来および外来遺伝型の頻度を推定することを目的とした。コイのITS領域のリファレンス配列を取得し、在来および外来遺伝型を区別する一塩基の変異(SNP)を決定した。このSNPを含む領域をコイに特異的な新規プライマーを用いてPCR増幅し、超並列シークエンサーで解読して、在来および外来遺伝型の頻度を推定した。結果として、湖東地域では1年を通して外来遺伝型が高頻度に検出された。一方で、湖北地域では比較的在来遺伝型の頻度が高かった。琵琶湖における外来遺伝子の浸透の程度には地域による違いがあり、湖東地域でより大きい可能性が示唆された。


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