| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(口頭発表) D02-10  (Oral presentation)

ツキノワグマの生息地における岩石下営巣アリ類の資源量推定
Estimating abundance of subrock-nesting ants in black bear habitat.

*三國和輝(名城大学大学院)
*Kazuteru MIKUNI(Meijo Univ.)

 アリ科に属する社会性昆虫は夏季におけるツキノワグマの主要な餌品目とされている.アリ類の餌としての価値が定量的に評価された事例は少ない.また,一般的にツキノワグマの生息地の大部分は森林であるとされているが,森林においてクマの餌資源としてのアリ類の資源量(以下,アリ類資源量)を定量化した事例は少ない.よって本研究ではニホンツキノワグマの餌としての観点から,岐阜県白川村に生息するアリ類の利用価値を量的に評価した.(1)アリ属別に量的価値を検討した.(2)統一的な環境指標によって,アリ類資源量と営巣環境を評価した.(3)白川村に生息するツキノワグマが利用するアリ類を特定した.結果,林縁部及び河岸がツキノワグマにとってアリ類の入手性が高い環境である可能性が示唆された.アリ属別では,アシナガアリ属,ケアリ属,ヤマアリ属,オオズアリ属,アメイロアリ属の順に量的資源価値が高いことが明らかになった.白川村において,夏期におけるツキノワグマの生息地選択にアリ類の量的分布が影響している可能性が示唆された.


日本生態学会