| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(口頭発表) F03-02  (Oral presentation)

イネ科植物内生菌が生葉と枯死葉の菌類群集に与える影響:無病徴個体と病徴個体の比較
Effects of a grass endophyte on fungal communities in live and dead leaves of grass: comparison between symptomatic and asymptomatic plants

*秦野悠貴(同志社大学大学院), 松岡俊将(京都大学), 舘野隆之輔(京都大学), 長谷川元洋(同志社大学), 大園享司(同志社大学)
*Yuki HATANO(Doshisha University), Shunsuke MATSUOKA(Kyoto Univ.), Ryunosuke TATENO(Kyoto Univ.), Motohiro HASEGAWA(Doshisha Univ.), Takashi OSONO(Doshisha Univ.)

植物の生きた組織内部に無病徴で存在している菌類は内生菌と呼ばれ、あらゆる陸上植物において認められている。その中でもイネ科植物に特異的なEpichloë属菌類の無性世代には、感染による宿主植物への乾燥耐性の付与、病原菌に対する抵抗性の付与が報告されており、イネ科植物とEpichloë属菌類は相利共生の一例として知られている。一方でEpichloë属菌類の有性世代はがまの穂病を引き起こす病原菌として知られており、宿主の葉鞘に子座を形成し、宿主の花序の形成とその後の種子生産を阻害するため両者の相互関係は寄生的となる。
本研究では、イネ科植物とEpichloë属菌類の相互関係の変化が菌類群集に及ぼす影響を調査するために、イネ科植物であるヤマカモジグサをがまの穂病発病個体・無発病感染個体・非感染個体に分類し、生葉と枯死葉を対象にDNAメタバーコーディングにより菌類群集組成を比較した。本発表では、生葉と枯死葉におけるがまの穂病発病個体・無発病感染個体・非感染個体間での菌類群集の変動や落葉分解において中心的な役割を担うリグニン分解菌群集への影響についての解析結果を報告する。


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