| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(口頭発表) F03-03  (Oral presentation)

鉱山跡地に自生するアオキの根面微生物と内生菌の機能【発表取消/Cancelled】
Rhizoplane Microorganisms and Functions of Root Endophytes of Aucuba japonica, Naturally Growing at a MIne Site【発表取消/Cancelled】

*土山紘平(筑波大学生命環境系), 山路恵子(筑波大学生命環境系), 春間俊克(北海道大学工学学術院, 筑波大学生命環境系)
*Kohei DOYAMA(Univ. of Tsukuba), Keiko YAMAJI(Univ. of Tsukuba), Toshikatsu HARUMA(Hokkaido. Univ., Univ. of Tsukuba)

内生菌とは植物体内に一定期間無病徴で生息する微生物で、植物の環境ストレス耐性を増強することが知られている。鉱山跡地に自生するアオキの細根からは、内生菌であるPezicula ericaが高頻度で分離され、高い重金属解毒物質及び抗菌物質産生能を示すことが確認されている。本研究では、調査地土壌における重金属ストレス及びアオキの根圏に存在する土壌病原菌に着目し、アオキの重金属及び病原菌ストレス耐性に関与するP. ericaeの機能解明を試みた。
2021年7月にアオキ成木10個体から細根を採取し、滅菌水及び過酸化水素水を用いて、根面微生物及び内生菌を1%麦芽エキス寒天培地(1%MA培地)上で分離した。次に、滅菌アオキ実生から作製した根を1%MA培地に置床し、根面から高頻度で分離されたIlyonectria属糸状菌の寒天ディスクを対峙するよう置床し、23℃暗黒下で14日間生育させた。その後、根の病変部長を計測することでアオキの根に病徴を引き起こすIlyonectria属糸状菌を選抜した。最終的に選抜されたIlyonectria属糸状菌と内生菌P. ericaeを用いた接種試験を、γ線滅菌した鉱山土壌で実施し、P. ericaeがアオキの重金属ストレス耐性及び病原菌耐性に与える影響を評価した。
根面からはIlyonectria属糸状菌が76.4%、及びP. ericaeが14.2%の頻度で分離された一方で、根内からはP. ericaeが31.2%、及びIlyonectria属糸状菌が9.6%の頻度で分離された。根面から分離されたIlyonectria属糸状菌を用いた選抜試験の結果、w9-7株が最も高い活性を示した。現在は、Ilyonectria属糸状菌のw9-7株とP. ericaeを用いた共接種試験の結果を解析中である。


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