| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨 ESJ70 Abstract |
一般講演(口頭発表) G02-05 (Oral presentation)
動物は、新たな餌資源を利用できるようになると、新たな生息地に進出したり新たな餌資源をさらに細分化したりすることで、さらなる多様化をとげうる。食性のシフトは、どのような遺伝的変化によって達成されるのであろうか?本研究では、哺乳類の食性(草食性、雑食性、肉食性)に相関する遺伝子コピー数の変化を解析した。その結果、特定の食性シフトに関連して、特定の遺伝子のコピー数が繰り返し変化することを見出した。例えば、草食動物では、系統的な補正を行っても、解毒に関連する遺伝子数が高いことなどを見出した。これは、植物由来の二次代謝産物を効率よく解毒する能力の獲得が、草食動物への進化の鍵となることを示唆する。さらに、いくつかの遺伝子コピー数の情報のみから、その動物の食性をある程度予測しうることも確認した。このように、生態と関連する遺伝子コピー数の研究は、生態シフトを制約する主要な生態要因を知るのに役立つとともに、生態が未知の生物について、ゲノム情報から生態を推測する手法の確立にも役立つであろう。