| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(口頭発表) H02-05  (Oral presentation)

水位操作は湖沼生態系管理に有効か?:数理モデルによる解析
Are water-level operations effective for lake ecosystem management?:  a theoretical approach

*横溝裕行, 角谷拓(国立環境研究所)
*Hiroyuki YOKOMIZO, Taku KADOYA(Natl. Inst. Environ. Studies)

浅水域をもつ湖沼生態系には、透明度が高く大型の水生植物が生育するレジーム(安定系)と、植物プランクトンが優占し濁度が高いレジームが存在する。水位変動は、湖底からの内部負荷や水生植物の発芽・生育環境などを変化させて湖沼の生態系や水質に影響を与える。水位操作と生態系や水質の関係を明らかにすることができれば、水位操作を湖沼生態系の管理手法として活用することができる可能性がある。本研究では、水位操作による水位の変化と栄養塩濃度や藻類密度の関係を記述する数理モデルを構築した。水深や湖沼の形状、水温などの湖沼の特性に対して、水位操作が藻類密度にあたえる影響を解析した。その結果、水位を下げると、藻類密度が減少する傾向が明らかになった。水位操作は幅広い条件下で有効であり、その効果の大きさは水温、湖の形状、流入する栄養塩濃度、水生植物の有無などに依存することがわかった。一方で、小規模の水位操作を行った場合に、特に小さな湖沼で水質が悪化する場合もあることが明らかになった。本発表では、湖沼の生態系管理における水位操作の有効性について議論する。


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