| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(口頭発表) H03-01  (Oral presentation)

英語が母国語でない研究者が直面する障壁の定量化
Multiple disadvantages for non-native English speakers in science

*天野達也(クイーンズランド大学), Valeria RAMÍREZ-CASTAÑEDA(Univ. California, Berkeley), Violeta BERDEJO-ESPINOLA(University of Queensland), Israel BOROKINI(Univ. California, Berkeley), Shawan CHOWDHURY(Helmholtz Centre Environ. Res.), Marina GOLIVETS(Helmholtz Centre Environ. Res.), Juan David GONZÁLEZ-TRUJILLO(Nat. Museum Natural Sci. Spain), Flavia MONTAÑO-CENTELLAS(Univ. Mayor de San Andrés), Kumar PAUDEL(Greenhood Nepal), Rachel WHITE(University of Brighton), Diogo VERÍSSIMO(University of Oxford)
*Tatsuya AMANO(University of Queensland), Valeria RAMÍREZ-CASTAÑEDA(Univ. California, Berkeley), Violeta BERDEJO-ESPINOLA(University of Queensland), Israel BOROKINI(Univ. California, Berkeley), Shawan CHOWDHURY(Helmholtz Centre Environ. Res.), Marina GOLIVETS(Helmholtz Centre Environ. Res.), Juan David GONZÁLEZ-TRUJILLO(Nat. Museum Natural Sci. Spain), Flavia MONTAÑO-CENTELLAS(Univ. Mayor de San Andrés), Kumar PAUDEL(Greenhood Nepal), Rachel WHITE(University of Brighton), Diogo VERÍSSIMO(University of Oxford)

科学における公用語として英語が使われていることで、英語が第一言語でない研究者は様々な不利益を被っていると考えられる。しかし、この「言語の壁」が、英語が第一言語でない研究者のキャリア形成にどのような影響を及ぼすかを定量化した研究はほとんどない。そこで本研究では、英語の習熟度と経済発展レベルが異なる8か国における環境分野の研究者を対象としたオンライン調査を行い、様々な研究活動を英語で行う際に費やす努力量を定量化して比較した。計908人の調査参加者の回答を解析した結果、英語が第一言語である研究者に比較して、英語が第一言語でない研究者は、英語論文の読解、英語論文の執筆、英語での研究発表の準備、複数言語での研究成果の普及活動など、対象とした全ての研究活動において、より長い時間や多くの労力を費やしていることが明らかになった。また英語でのコミュニケーションに自信がないために、英語が第一言語でない研究者の多くが国際学会への参加や、国際学会での英語口頭発表を断念している実態も明らかになった。英語が第一言語でない研究者が科学に最大限貢献できるようにするために、長らく見過ごされてきたこの問題を科学コミュニティ全体として認識し、解消に向けた取り組みを行っていく必要があると考えられる。


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