| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-004  (Poster presentation)

調査頻度と期間が最大利用範囲と行動圏推定に与える影響: ニホンザルの事例【A】【B】【E】
Effects of sampling frequency and duration on the estimation of maximum utilization area and home range: A case study for Japanese macaque【A】【B】【E】

*寺山佳奈(高知大学・院・黒潮圏), 海老原寛(WMO), 清野紘典(WMO), 滝口正明(自然環境研究センター), 加藤元海(高知大学・院・黒潮圏)
*Kana TERAYAMA(Kochi Univ.), Hiroshi EBIHARA(WMO), Hironori SEINO(WMO), Masaaki TAKIGUCHI(JWRC), Motomi GENKAI-KATO(Kochi Univ.)

野生動物の行動範囲は、GPS 機器などを用いて測位した動物の位置情報を基に推定される。測位できる位置情報の数は電池寿命によって制限を受けるため、調査の頻度と期間の間にはトレードオフの関係がある。これまでの所、調査の頻度と期間が行動範囲の推定に与える影響については明確にされていない。本研究では、行動範囲として最大利用範囲と行動圏に着目した。本州と四国に生息するニホンザル9群れを対象とし、200日以上の調査期間、毎日6時から18時まで1時間間隔で測位した位置情報を使用して、頻度と期間を減少させた操作データを作成した。頻度と期間を減少させていない未操作データを用いて推定した行動範囲を真の面積と定義し、操作データを用いて推定した行動範囲を推定面積とした。最大利用範囲の場合、調査期間が90日以上あれば推定面積は頻度と期間の影響をほとんど受けなかった。行動圏の場合、頻度が低下すると推定面積は増加し、期間が短くなると推定面積は減少した事から、頻度と期間の間には推定面積に対して反対の効果が見られた。また頻度と期間を同じ割合だけ減少させた場合、反対の効果は相殺されることも示された。さらに行動圏推定では、推定面積が真の面積からはみ出した(偽陽性)割合は測位頻度が低下するほど大きくなった。一方で推定面積に真の面積が含まれなかった(偽陰性)割合は、調査期間が短くなるほど大きくなった。


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