| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨 ESJ70 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-006 (Poster presentation)
近年,野生動物の個体数密度推定に自動撮影カメラを利用した空間明示型捕獲再捕獲法(SCRモデル)が広く普及している.SCRモデルは,個体の撮影地点情報(座標)を利用し,個体数密度と行動圏中心の位置座標を同時に高精度で推定することを可能にする枠組みである.しかし,多くの野生動物は個体識別できる特徴(体表の模様)を持っておらず,識別が不完全な状態でも適用できるモデルが必要とされている.そこで,本研究では複数個体で遊動する動物の集団サイズの差異を手掛かりとして,集団数およびサイズを空間明示的に推定する階層ベイズモデルを提案する.本モデルは,3つのサブモデルから構成された.1つ目は,個体の不完全な検出を考慮した上で,各カメラで撮影された集団の真のサイズを推定する.2つ目は,ディリクレ過程を用いて,推定された集団サイズをクラスタリングし,撮影履歴(ある集団がどのカメラで何回撮影されたかを示す行列)を推定する.3つ目は,推定された撮影履歴を対象に従来のSCRを適用する.発表では,モデルの詳細な説明とシミュレーション結果の報告を行い,野外での適用可能性について議論したい.