| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-033  (Poster presentation)

訪花性昆虫群集における翅干渉色の類似性【A】【発表取消/Cancelled】
Similarity of wing interference patterns in a flower-visiting insect community【A】【発表取消/Cancelled】

*飯田歩美, 高橋一男(神奈川大学)
*Ayumi IIDA, Kazuo TAKAHASHI(Kanagawa Univ.)

訪花性のハチ目昆虫が持つ、頭・胸・腹部の黒や黄色のパターンは、主に視覚情報を活用して捕食を行う鳥類への警告色として機能していると考えられている。また訪花性のハエ目昆虫にはそのようなハチに擬態した体色パターンを示す種も多い。その一方で、多くの訪花性のハチ目やハエ目昆虫の翅は色素の沈着が少なく、翅色の種間変異はこれまで注目されて来なかった。しかし、微小なハチ目やハエ目昆虫では、鮮やかな構造色パターンである翅干渉色パターン(Wing Interference Patterns, WIPs)が知られており、訪花性のハチ目、ハエ目昆虫においても、同様のWIPsが観察される可能性がある。特に暗い背景において明瞭なWIPsが発色するため、暗い色の葉や、茂みの陰などを背景にした場合には、捕食者である鳥類にもWIPsが見えている可能性がある。そのためハチ目のWIPsが鳥類に対する警告色として機能する可能性や、ハチ目のWIPsに擬態したハエ目の昆虫が存在する可能性がある。しかし訪花性昆虫における背景依存的な翅色変異や、その種間での類似性は未解明である。そこで本研究では、訪花性昆虫においてWIPsを含む背景依存的な翅色変異の有無を評価し、頭・胸・腹部の体色パターンの類似性と翅色の類似性の関係性を調べた。2022年4月から6月の約3カ月間、神奈川大学湘南ひらつかキャンパス内のツツジの花壇に集まる訪花性昆虫を合計535個体採集した。各個体の右前翅を切除し、自然光LEDを光源として、背側から明背景と暗背景で撮影した。得られたRGB画像を鳥類の色覚を再現したCone-Catch画像に変換し、各ピクセルついてHSL(色相・彩度・輝度)を算出した。各翅の重心を中心として、翅を10個の区画に区分し、各区画について平均HSL値を算出した。さらに、主成分分析によって変数の次元を縮約し、色スコアを算出し、一般化線型モデルによって翅色に種、性別、背景色が与える影響を評価した。また、種間の翅色の類似度をクラスター分析によって評価した。


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