| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨 ESJ70 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-223 (Poster presentation)
SfMを用いて樹木根全体の構造を再構築する手法において、画像から得られる三次元点群データは多数のノイズを含んでいる。通常、樹木根はその個体特有の複雑な構造を有していることが多く、手動でのノイズ除去には膨大な労力がかかるため、対象物とノイズとの分類・除去は大きな課題である。ノイズ処理の高速化として利用可能な手法の一つに、機械学習が挙げられる。機械学習はコンピュータ及びプログラム言語を使用して利用できるデータの予測手法であり、既知のデータからその特徴を学習することで、類似の特徴を持つ未知のデータに対してクラスタリングなどを行うことができる。SfMを用いた手法で発生するノイズの大部分は、撮影した画像における対象物以外の背景情報によって生じる。そのため、背景および対象物の点群データの情報をそれぞれ機械学習の学習に用いることで、ノイズ及び対象物の自動分類が可能であると考えられる。本研究の目的は、機械学習を用いて樹木根点群データにおけるノイズ処理が可能かどうかを検討することである。まず、樹木根の根系全体を丸ごと掘り出し、掘り出した樹木根と背景部分を分離するために、周囲をブルーシートで囲んだ上で撮影を行った。次に、SfMによる樹木根の再構築を行い、樹木根の全体的な構造を点群データとして復元した。その後、Pythonの機械学習パッケージであるScikit-Learnを用いて、樹木根およびブルーシートから生じた点群データのRGB情報を基に教師あり機械学習の一種であるロジスティック回帰分析による学習及びデータ予測を行った。その結果、背景から生じるノイズの大部分が色情報を用いて除去することが可能であった。また、本ノイズ処理手法の形態計測における影響は軽微であり、手動ノイズ処理と大きな差がなかったものの、一部の根において過大評価をしている傾向にあった。これは、RGBのみを用いたノイズ処理には限界があることを示している。